ベッドカバーとワンピースの奇妙な邂逅

インドはたまに、とてもいいタイミングで私を笑わせてくれます。

一昨年、チェンナイで古典舞踊を見るために渡印した日のこと。所用があり、数日はデリーに滞在です。

インドのアッパークラスのマダムと知り合ってみたいという不純な動機で、高級住宅街でもある南デリーのハウズ・カース(Hauz Khas)のB&Bを予約しました。

12月の肌寒い空気のなか、すっかり日も暮れた宿に着くと、上品なマダムが出迎えてくれました。

宿泊の手続きをひと通り済ませると、マダムが艶然と微笑みながらいいます。

「あなたのそのドレス、とても素敵。I love it!」

日本人がインド服を着ているとこういうのはよくある話なので、軽く”Thank you”と返しました。

そしてマダムに案内されたお部屋に入り、マダムが灯りをつけ、全貌を見渡して(広い部屋でした)。

マダムと私、顔を見合わせ。

大爆笑。

部屋のベッドカバーと、私が着ていたアナールカリというロングワンピースの、色と柄がまったく同じでした。

西インドの砂漠地帯、グジャラート州の伝統柄なんですね。大すきなインドのFabindia(ファブインディア)というお店の服です。Fabindiaはインドの手仕事をフィーチャーした服をたくさん出しているので、まあ、不思議はありません。

マダムとは翌朝、朝ごはんの席で盛り上がり、昼近くまで話し込みました。映画はあまり好きではないというマダムに、当時、封切りされたばかりの歴史大作映画”Bajirao Mastani”がいかに素晴らしい作品か力説したら、ちゃんとその夜、ご主人と観に行ってくれましたよ。なぜ日本人がインド人にインド映画の宣伝をしているのかは謎。

ほんと、いい旅の始まりでした。インド、おもしろいでしょ?

「いやインドじゃなくて、アンタが歩くネタでしょ」

友人たちの、言葉が、刺さります。