うんとピンぼけ

探しものをしていたら、昔々、写真を勉強していたころの大量のポジフィルムが出てきました。

iPhoneで記録用の写真しか撮らない今となっては嘘みたいだけど、20代のころは、身長150センチの女子が持つにはゴツすぎるカメラをもって(担いで?)旅していました。

当時、ロバート・キャパに憧れていて、かの有名な著作「ちょっとピンぼけ」が愛読書。自分の写真は、ちょっとどころか、どこもピント合ってねえ。笑

縁あって写真を見る機会はわりとあるほうだと思います。ビシーーーッとピントが合いまくり、露出、構図、すべてが完璧な写真を見ると、プロってさすがだ、すごいなあと思います。

でもすごいなあと思う写真と、好きだなあと思う写真は、違うんですよねえ。

「はい、撮りますよ」と完璧にセッティングされたものならいっそ広告の商品写真がすき。どんな素材を撮影してどんな処理をかけてるんだろうと興味が尽きない。

写真家の「作品」でいうと、シャッターを切るたびに仕上がりを逐一チェックして仕上げたんだなという写真より、いろんなものをコンマ一秒くらいで計算してうまいこといっちゃったなという写真がすき。

「セッティング」と「コンマ一秒で計算」の両方を組み合わせている写真家は多いと思うのだけど、私はほとんど「コンマ一秒」だけで勝負している写真がすきですねえ。そういう写真を見ると、どんな人がどんな思いで撮ったんだろうと興味が湧きます。で、すきだなあと思った写真は、だいたい、その写真家さんにも惚れる。

踊りと一緒で「うまい」写真はたくさんあって。基礎や技術がしっかりしているのは大前提で。パフォーマンスのふとした瞬間にふと見える踊り手の内面に惚れるのと一緒で、この人なんでこれをこう仕上げたのかなという部分がある写真家にグッとくる。

さて、フィルムと紙焼きの山、どうしよう。青春の思い出なんだけど、資料としても使える写真はあんまりない(なにごとも身の程を知るって大事)。選んで捨てるとか、選んでデジタル化するとかしていたらそれだけで何日もかかりそう。