序
常日頃「インド人と共存できたら世界中どこでも生きていける」と信じている私です。世界の5人にひとりはすでにインド人らしいですし、どこへ行っても絶対にいて、金も力もあったりしますので。
娘にはどのみちたいした財産は残せないので、代わりに自力で道を切り開いて行く力をつけさせたいと思っていて。
インドはその場としてまったくもって申し分ない。
かといっていきなりリアルインドにひとりで放り出すわけにもいかないし、インドの学校に放り込むには現状、諸々の環境が整わない。
なんとか生ぬるい程度にインド人世界にぶっ込めないものか?
ということを娘連れで渡航するたびに考えてきました。ちなみに彼女は4歳でインドデビュー、8歳現在、5回目のインド真っ最中です。
そこでふと思い出した「ボリウッド俳優シャー・ルク・カーンがインドのキッザニアの株を26%所有、インドにおけるキッザニアブランドの広告塔を務める」といういつか見た記事。
シャー・ルクが偉いのは、稼いだお金を社会に還元すべく、さまざまな事業に投資しているところ(税金対策かもしれないけど)。
おおそうだ、キッザニアなら私が考える生ぬるいインドがあるじゃないか!
ということで、デリーにほど近い商業エリア、ノイダにあるキッザニア・デリーまで行ってきましたよ。
メトロとリキシャで到着
最近はUberアプリで簡単に車が見つかるので、すっかり配車を頼もうと思っていた矢先、Googleマップで場所を調べていたら、どうやらキッザニア・デリーはメトロ駅からも近いらしい。
おまけにわれわれの滞在場所の最寄駅から乗り換えなし1本で行ける。
子連れインドは安全策をとろうとなにかと経費がかさむので、おお、これはありがたい。メトロで行こう。
娘のぶんのメトロカード(SuicaとかPasmoのようなプリペイド交通カード)を今回初めて購入、保証金込みで初回購入150ルピー。大人と同じで、子ども料金はないみたい。
デリーメトロは座席がつるつる滑って座り心地はいまいちだけど、女性専用車両で運良く座れて、快適に移動。
女子しかいないと傍若無人になるのは万国共通で、メイクするどころか隣の席でお弁当を食べ始める女子などもいて、オモロイ。携帯でずっとおしゃべりとか、音漏れ以前にヘッドフォンなしで直接、音楽を聴いている女子とか。自由だ。
着いた先の駅前によれよれのリキシャ(人力車)が何台か待ち構えていたので、気候も涼しいし、Googleマップを見る限り歩けない距離ではなかったけれど乗ることに。
バナーラス在住時代から、私はどうもリキシャのおじさんたちには並々ならぬ愛着を感じている。
リキシャといえば貧乏人の出稼ぎ者の代表格で、だいたいいつも冴えない風態で、冬場の寒い朝など見るからに寒々しい出で立ちで客待ちをしていて、素通りできない。
ペダルを踏む足のズボンの裾からチラチラ見える無駄な肉が一切ない細い脛の筋肉を見るたび、家族のために身体を張って働く男の代表格という感じがする。
人力で自転車を引くリキシャはすでにメインの場所からは姿を消しつつあるといわれているものの、デリーのような都会のど真ん中でもしぶとく生き残っている。
私は通り過ぎるだけの外国人ではあるけれど、この人たちがいる間は、なんとか彼らにお金を落としたいなと思っている。
1キロちょい、時間にして5分ほど。相場はせいぜい20ルピーくらいじゃないかと思うのだけど、50ルピー(100円足らず)さしあげました。顔をくちゃくちゃにしてサンキューと言ってもらえて私も嬉しい。娘もアトラクション感覚でリキシャ大好きで、はい、三方よし。
ひと気のないキッザニア?
さてキッザニアの看板も見えるし、隣接する遊園地の看板もあるのに、やたらと閑散としていて一抹の不安がよぎります。時刻は正午近く。えーと。やってるのかしらねえ。
入り口が見えてきました。世界の言葉で「ようこそ」と書いてありました。日本語はないのかー! チッ。
前哨戦、東京キッザニア
実はインドのキッザニア突撃計画を娘に話したところ、「その前に東京のキッザニアで練習していきたい」との訴えがありまして。
お友だちからキッザニアの話をたくさん聞いて、行ってみたいとは思っていたそうです。
東京のキッザニアはけっこうな料金するので内心「チッ」と思いつつ、渡航前に母娘でデビューしてきました。
そしてその人気っぷり、入場前の長蛇の列、スタッフのホスピタリティなどにいたく感服していたところでした。
だから娘としてもキッザニアには期待値が高く、ただ唯一の不安が「言葉がわからない……」ということでした。まあそうだろうね。
一応、彼女には幼いころからお高い「ディズニーの英語システム」という教材を与え(かなり失敗)、公文の英語を2年弱、続けさせている。
かつ、公立ながらも場所柄、外国語教育にもそれなりに力を入れている小学校で母語話者の先生による英語の授業があるらしい。
わりと難しめの会話文も理解するし、生意気にも語彙もなんとなくあるみたい。
そんなスペックでいざ、インドのキッザニアに臨みます。
続く。