インドのキッザニアの入場料
日本のキッザニアでは入場前に長い長い行列に並んで実感したキッザニア人気ですが、ここインドのキッザニアには行列皆無(このときはまだ甘かった)。
「入国管理」という名のチケットカウンターで入場券を買います。日本のキッザニアは朝入場の第一部、夕方入場の第二部という構成ですが、インドは入場時間は問わず、滞在時間数で料金が違いました。
5時間滞在、1日滞在、あとは夕方以降の短期滞在料金。1日持つかわからないのでここはひとまず5時間滞在チケットを選択。子ども1,200ルピー、大人500ルピーの計1,700ルピー(3,000円くらい)。
Wikipediaにある国際通貨基金の2015年の資料によると、ひとりあたりGDPは、日本は24位32,486米ドル、インドは140位1,617米ドルなんだそうです。
インドはがっつり階級社会で貧富の差が激しいだけでなく、昨今の中流層のめざましい台頭もあり、社会の分布がかぎりなくモザイク化していて、「平均」を論じることにあまり意味がないような気がします。
50ルピーであんなに喜んでくれた、メトロの駅から乗せてもらったリキシャのおっちゃんのようなインド人には、1,700ルピー払って子どもにままごとの職業体験をさせるなんて、限りなく無縁な世界に違いありません。
リキシャ引きは憧れてなるものではなく、職業選択の自由などほぼなく学も後ろ盾もないなか、やっとできる職業という位置づけなので。
キッザニアのセキュリティ
チケットカウンターでは、チケット購入後、手首にセキュリティ用のブレスレットを親子ともに装着します。
これで親子をペアリングして、かつ、ラジオ波(?)で常にキッザニア内の子どもの位置がわかる、というハイテク機器なのだそうです。連れ去りとか、勝手に外に出る子とか、そのへんの防止を想定しているとか。
また子どもがアクティビティ(職業体験)に参加する際はこのブレスレットをスキャンして参加記録などを残します。専任カメラマンの撮影の際もスキャン。フォトセンターでブレスレットをかざすと、撮影された子どもの写真をモニターでチェックできました。
日本のキッザニアはアクティビティの記録は紙のシートだったし、子どもの写真は紙焼きして出口付近に大量展示していたので、なんとなくインドのほうがハイテク感がありますね。なんとなくね。たぶん、紙よりコストが安いのかな。
メインの客層
さて、キッザニアに来ようというインド人ははたしてどんな人たちなのか?
メトロとリキシャで来場するような人はおそらくいません。両親と子ども、あるいはママ友グループと子どもたちで自家用車でやってきている風な人がたくさん。
このママたちがもれなくビア樽のような体型で、日本にいると幅をとって肩身の狭い私もここにいるとうっかりすると小さいほうです。
察するに、夫はインドの財閥系か外資系企業の中堅サラリーマンで、妻は専業主婦。夫婦ふたりともインドのローカルな大学は出ている。子どもたちはインド資本の英語教育の私立校に通う。
住宅ローンで購入した郊外の新興集合住宅に住み、韓国車ヒュンダイに乗り、家付きの召使いはいないけれど通いのハウスキーパーがいる。海外旅行はモルジブあたり、国内ならケーララ州あたりに行く。
もしかしたらもうちょっとお金持ちもいるかもしれないけれど、ざっと見渡したところ、いわゆる都会の「中流」家庭がメインのように見えました。
なんというか「外国」が非現実的なわけではないけれど、あくまでも国内の上のほうを目指す層といいますか。もっとお金持ちは最初から欧米しか見ていないし、教育もある程度の年齢になったら外国で受けさせますし。
ドキドキのアクティビティ参加
さて、子どもに職業体験をさせるキッザニア。職業に貴賎があるインドで、下層といわれる仕事がどの程度あるのか興味がありました。
本物の企業が参加するので、職種というよりも名のある業種が参加している感じ。
多いのはやはりキッザニアビジネスに参入しやすい外食産業で、ダンキンドーナツ、ドミノピザ、キャンディやチョコレートのローカルブランド。運送はDHLで、テレビ局があったり、証券会社、銀行、病院、警察、消防局があるのは日本と同じ。インドならではといえばボリウッドダンス教室があったり。
娘は日本ではなぜかヤマト便が一番気に入り、インドに来ても「宅配便がやりたい」としょっぱなからDHL。配達先とかわかるのかしらと思っていたら、ペアを組んでくれたインド人男子がテキパキとリードしてくれました。配達先も、指示もほとんどわからないらしい娘、眉毛を寄せたままとことこついていくばかり。
中流インド人の洗礼
宅配便でなんとなく自信をつけた娘、言葉がわからなくてもできそうなのは食べ物関係だと思ったらしく、次はダンキンドーナツへ。ドーナツだとばかり思って参加したら、まさかのハンバーガー製造でした。笑
さて、今度こそドーナツを! と勢いこんで行ったドーナツ工場。
先ほどから同じジャージを着た子どもたちが大量に歩き回っており、どうやら遠足か課外授業で着ている学校があるようでした。
みな英語を話し、ぷくぷくと太って、いかにも小金持ちの子ども風。
ああこりゃ面倒だなと思っていたら、案の定、このジャージ集団、列に割り込みまくるのです。
ドーナツ工場でも、並んでいた娘の前のちょっとした隙間にグループで割り込み。
どうするかなと見ていたけれども、娘、呆然と後ずさりするばかり。
「ボケっとしていると割り込まれるよ。あんた次の回に回されるよ、しっかりして、負けるな、戦え」
「あっちを見て、ああいう風に隙間を空けずに並ぶんだよ、でないと隙間に入ってくるよ!」
日本語で指示を送るものの、泣きそうな顔をして一番後ろでポツン。案の定、次の回には入れず、次の次に回されてしまいました。また並ぶも、新たなグループ登場で再三の割り込み、娘、常に一番後ろポジションから抜けられず。
「あんたこのままだと永久に前に行けないよ。ドーナツやめる? ほかに行く?」
しかし娘も悔しいらしく、「それは嫌だ」とドーナツ屋から動こうとしません。
このとき出てきたドーナツ屋スタッフに「この子たちちゃんと並ばないんだけど、ちゃんと仕切ってよね」と文句を言ったところ、スタッフ、めんどくさそうに「はい並んでー」と声がけを一回。誰が先に来ていたかなどはまったく見ておらず、とりあえず号令しただけというお粗末さ!
子どもたちは一応並ぶものの、またしても娘は最後尾。
このへんで母もイライラしてきます。図々しいインド人キッズと、軟弱な我が子の両方に。
続く。