バナーラス、朝7時。涼しい風が吹くテラスで朝のカフェラテ(お客様は自由行動にて鋭意撮影中のため、わたくし一服いれておりましたのよ)。
眼下にサイクルリキシャーが通りすぎる。時代に取り残されたような、農村などから街に出稼ぎに来た漕ぎ手のおじさんやおじいさんたち。
雨の日も風の日も炎天下でも細い筋肉質な足でペダルを踏み、身体を張って働く姿には、昔から並々ならぬ思い入れがある。ジムでマシンで鍛えてプロテイン飲んでるんじゃないからね。
サイクルリキシャーを使うときは、とにかく漕ぎ手の顔を見る。溜まり場でたくさんいるなかから選ぶ場合も、声をかけてくる流しを拾う場合も、とにかく、いい顔した人を選ぶ。荒んだ顔をしている人は選ばない。
乗る前に料金交渉なんかしない。
行き先だけ伝えて、降りるときに100ルピー札と、ポケットにある小額紙幣をあるだけ全部渡す。
みんな、え? って驚いた顔をする。地元の人なら20ルピーくらいの距離だから。
釣りはいらねえよって言うと、顔がめっちゃほころぶ。
その顔を見るのが好き。
偽善に過ぎないけど、世の中の不公平に直接、ちょっとだけ殴り込んだような気がするから。