アフリカのタンザニアでキリマンジャロ登山後、ザンジバル島のビーチでだらだらしていたことがありました。
2002年初頭のことです。
白浜の素敵なビーチで、簡素ながらも居心地のよいバンガロー暮らし。
ただひとつの点を除いては。
市街地からは距離があるのもあって、夕食はだいたい宿でとっていまして。
よく食べよくしゃべってバンガローに戻り、明かりをつけますと。
光に驚いたやつらが顔めがけて飛んできます。
ええ、Gです。世界のどこにでもいる、あの、Gというしぶとい生き物。
初日はパニック状態に陥り、悲鳴をあげまくりました。
だってね、アフリカGは、日本Gの10倍くらいありそうな、小判みたいな厚みのある存在感ありすぎなやつら。
それがです、超アグレッシブに自分に向かってものすごい勢いで飛んでくる。
恐怖以外のなにものでもありません。
吊ってあるMy 蚊帳の中になにものも侵入できないように念入りにチェックして怯えながら寝ました。
やつらは毎晩懲りずに襲ってきます。しかも同時に複数な! おそらく集落全体くらいのレベルで駆除しないといなくならないでしょう。
憎しみは募るものの明かりをつけた瞬間の襲撃にはだんだん慣れ、声もあげずに冷静によける、ということができるようになりました。
数日経った夜。さあ飛んできた!
……という瞬間に、思わず反射的に手のひらでバシンと受けて壁に叩きつけました。
ラケットのないテニスのように、思い切り手のひらで。
自分の運動神経と反射神経のよさをなぜかアフリカで発見しました。
壁に叩きつけると動きが鈍るので、丸めた雑誌かなにかでトドメをさし、バンガローの外に叩き出して、はいおしまい。あとは蚊帳の中で安眠です。毎晩恒例行事。
毒があるとか返り血を浴びるとかだとちょっと躊躇したかもしれませんが、小判大とはいえGですから。ええ、人類はGには勝てるんです。
人としてなにかとても大事なものを習得したと思えた滞在でした。
さて。この話は長いあいだ、私の中では相手を選ぶ話題でした。だってねえアナタ、素手でGをねえ。お嫁に行けなくなりそうじゃないですか。
でもそうやってやつらと闘い、善戦した自分のことは誇らしくもあります。よけてばかりじゃなく、真正面から闘ったんだからな。
悩みどころですよね。女子としての体面と自己肯定感のせめぎ合い。
でもね、最近ちょっと吹っ切れたんですよ。
ドン引き案件か男前伝説か。
それを決めるのはほかの誰でもない、オレだ!
男前上等。えっへん。