子どもとの旅のこと-1

旅好きの両親に育てられたので、まったく記憶がないころからずっと海外に連れ出されていました。

たくさんある写真であとから追体験している感じです。

海外旅行といっても麗しいリゾートばかりではなく、どちらかというと節約型の旅。家族5人で狭い部屋に滞在して毎日街を歩きまわるとか、屋台フードを食べ歩くとか。

ブラジルにいたころは、まだおむつが取れなかった弟の布おむつを宿で洗い、車の窓に挟んで乾かしながら長距離移動などしていたそうです。笑

そんな家庭で育ったので、大人になってからも「海外」というものにまったくなんの疑問もためらいもなく、今度は自分の足で出かけるようになりました。

子どもが生まれて、さて。

インドはしばらく行けないな……と思いました。衛生状況や治安についての現実を知っているだけに、かなーり、及び腰。

でもどこかに行きたい! ああ、旅がしたい!

デビューはハワイ

産育休からはすぐに職場に戻らなくてはいけなかったので、来たる多忙な日々に備えて、子どもがいなかったらまず縁がなかったであろうハワイのカウアイ島へ。

娘が生後4か月のときでした。

まだ歩かないし、母乳からの免疫もあるし、行くならいまだ! という気持ち。

「赤ちゃんを海外に連れていくなんてもってのほか!」

そんな声があったのは事実ですが、まあ、聞いちゃいません。

現地でいざというときの病院を調べたり、海外旅行保険はしっかりかけました。

ツアーのほうが料金的にもずっと低予算で済んだと思いますが、自分のペースで動けるほうがいいなと思い、いつもの個人旅行でした。

ハワイを選んだのは、万が一、フライト中に娘が泣き叫んで立ち往生しても、周りの乗客の皆さんも休暇でいく人が多いと思ったから。私自身、出張で飛行機に乗る場合、機内ではできるだけ休みたいので、極力、仕事モードの人がいないといいな……という気持ちでした(ちなみに子持ち歴も長くなった現在、子どもが騒いでいようが泣き叫ぼうがまったく気にならなくなりましたが)。

こればかりは乗ってみないと分からなかったけれど、ギャン泣きが止まらないということもなくてホッ。

カウアイ島では、海沿いの広大な敷地にあるキッチン付きのバンガローを借りて、移動はレンタカーでした。

地元の人も、ほかの観光客も、出発前に日本であれやこれやいわれたのはなんだったのかと思うくらい、いく先々で赤ちゃん連れに優しくて、拍子抜けしました。

まだ歩けない、離乳食もはじまっていない娘は、実際のところちょっと重たい手荷物のようなもので、勝手は違うながらも旅自体は予想よりずっと楽ちんでした。

その後は1歳半でシンガポール(もちろんインド人街に一番に行った)、2歳で沖縄、そして3歳でフランス。

フライト時間が長く、出張者も多そうなフランスへのフライトはちょっと心配だったけれど、機内で飽きないようにおもちゃや絵本や音楽、ビデオなどあれこれ策を凝らして、無事クリア。

なぜわざわざ子連れで海外へ?

せっかく子どもが生まれたんだから、そのときしかできないことを日本で楽しんだらいいじゃない。無理して連れていくことはないでしょう?

最初のハワイ行きはちょっとした反対にもあいました。ご意見ごもっともと思います。

荷物も多くなるし、行動も制限される。そんな状態で、わざわざ海外へ出かける必要はおそらくありません。

それでも行く理由は。

私が行きたいからです、以上! 笑

それまでの半生をずっと旅をして生きてきて、これから何年も続く子育て期間中に、自分の核ともいえる旅をやめることは、私にはできませんでした。

娘は可愛いけれど、「あなたのせいで母はやりたいことを我慢しました」といつか不満をぶつけてしまうかもしれない……それだけは避けたかった。

子どもと海外へ行くための条件

とはいえ、もちろん、すべての人に「子連れでもじゃんじゃん海外に行ったらいいよ!」とはおすすめしません。

あらゆる面で日本とは勝手が違うよその国へ、自分ではなにもできない年頃の子どもを連れていくのだから、親がある程度は旅慣れていていないと難しいです。

万が一のトラブルに対応できる語学力や、安心安全を守るための状況把握力。そのあたりに絶対的な自信がないなら、やめたほうがよいと思います。

たとえ添乗員付きのツアーであっても、上記に不安があるならば、私はおすすめしません。なぜなら添乗員がひとりでできることはとても限られているから。

観光地であっても、日本人が多くても、きょうびなにがあるか分かりません。大人数の参加者をみる添乗員は、どれほどベテランになったとしてもお客様全員のすみずみにまでは目が行き届きません。

そもそも添乗員は基本的には「つつがない旅程の管理」が責務。ホテルのチェックインをするとか、日程に記載されている訪問地をきちんと見学するとか、食事や移動の手配をするとか、そんなことが主たる仕事なのです。それ以上の細やかなサービスは付加価値であって本筋ではない。

もし事故や災害に遭遇してしまったとしたら、なおさらです。

非常時に、誰も頼れない、自分でなんとかするしかない。そんな状況で、子どもを守れるか? そんな覚悟が持てるかが子連れ旅のポイントだと思います。添乗員お任せのツアーだから大丈夫だろうというのは、大丈夫8割、大丈夫じゃない2割。

あとひじょうに現実的な話をしますと、子連れ旅はお金もたいそうかかります。2歳をすぎたら国際線の子ども料金は大人とさして変わりませんし、宿についても添い寝で人数に入らないのはごくごく小さいうちだけです。行ってからの予想外の出費もたくさん。

さて娘は4歳でインドデビューをしました。長くなったので続きは明日。