降り続く雨だれのようなタブラーの音、ここではないどこかへ連れて行ってくれるアンビエント音楽、そして圧巻の、音とシンクロしながら次々と形を変えていくLight Paint。
特異な三人による視覚と聴覚の相互作用 “new tones third law”
Sound x LuquidLight Show
インド修行から戻られたばかりのタブラー奏者・飯田きゅうりさんと、アンビエント音楽家Hidetoshi Koizumi a.k.a Hybrid Leisurelandさん、リキッドライト演出家ハラタアツシさんによるライブに行ってきました。
音と光のコラボとうかがってはいたものの、どんなイベントかイマイチわかっていなかったのですが、いやー、面白かった!
タブラーと電子音の絶妙の組み合わせがよかったし、初めてみたLight Paintという光の絵に見入ってしまいました。
最初、壁に投影されているのは、森ビルデジタルアートミュージアムのチームラボのようなデジタルアートだと思っていたら、その場でプロジェクターの上でインクを垂らしたり、スプレーを吹いたりしながら作っているライブの映像でした。
両手が繰り出すリズム、電子が奏でる音、その場で彩り消えていく絵画。
新しさとアナログが組み合わさって醸し出すのは、まるで瞑想しているような1時間でした。
ひじょうにおもしろいものを見せていただきました。ありがとうございます!
『インド古典音楽を聴いて、もっと楽しむためのレクチャー&ライブ』
さてこのライブの奏者のひとりであるタブラー奏者の飯田きゅうりさんと、シタール奏者ヨシダダイキチさんによる「インド古典音楽を聴いて、もっと楽しむためのレクチャー&ライブ」が来たる3月31日に開催されるとのこと。
私は昨年11月の開催時に参加したのですが、いわゆるハウツー的な解説ではなく、より根本に近いところから大きく捉えようという、ひじょうにしっくりくるお話を聞くことができました。
いわゆる「インド音楽」は、カチッと始まり終わりがある西洋音楽とは全く違う構成になっています。
ゆるゆるっと始まって、同じ旋律を何度も何度もループして、そこにちょっとずつ飾りが入ったり騙し討ちが入ったり、楽器同士の果たし合いや共闘がありながら進んでいきます。
一応、決まったリズム(ターラ)や旋律(ラーガ)や、どういう風にことを進めるかのお約束はあります。でもそれを、どんな技でどのように表現するかは奏者の自由で、もっとも力量が問われるところ。
全て即興で、何がどのように出てくるかは誰もわからないというのも、西洋音楽とはまったく違う点です。
4拍子の無限ループのようでいて実は少しずつ変化があって、そのうち無限ループが勝手に回り出し、脳みそがいい感じに緩くなり、掴めそうで掴めないなにかに向けて走り、収束に向かうために息を合わせて、最後はせーの! で気持ちよく終わり、無音のなかの余韻を楽しむ。
セクシュアルであり、聴くたびに This is life! と叫びたくなるような、生々しい音楽。
ヨシダさんいわく、そこに描かれているのは、聞く人それぞれの風景であり、最後にハタと目が覚める夢オチなのだそう。
うたかたの夢を見た、そんな気分を味わうのがインド音楽なのかな……と思いました。
次回開催の詳細はきゅうりさんのサイトやInstagram、Twitterで告知されるそうなので、ご興味ある方はチェックしてくださいね!